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アトピーと鉄
鉄は人間が生きていくためになくてはならない栄養素です。
しかしながら鉄不足は、アトピーに限らず現代人にとって誰しもが気をつけねばならない問題となってしまいました。
食の欧米化、調理器具の変化、野菜そのものの栄養価の変化などが原因と考えられています。
食事はきちんとしていても鉄分は不足しがちになってしまうのが現代の食環境なのです。
鉄が不足すると、肌が荒れる、爪が脆くなる、唇や舌に炎症が出やすくなる、髪が抜けると言った不調が出やすくなります。
また、日常生活での動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、頭痛、朝起きられない、疲れやすい等の不定愁訴の原因となっているケースもあります。
コラーゲン合成に欠かせない鉄
こと、アトピー性皮膚炎に関して鉄は真皮にある線維芽細胞がコラーゲンを合成する際に必要となるミネラルとなるため、鉄が不足していると、肌(皮膚)の弾力や張りが低下したり、みずみずしさが乏しくなってしまったりしてきます。
話が少しそれますが、美容や肌のためにコラーゲンを摂取するということを見聞きされたことがあると思いますが、コラーゲンとしての役割を期待するならばあれにはほぼ意味はありません。なぜならコラーゲンはタンパク質の一種であり、口から摂取したコラーゲンは消化の過程で様々なアミノ酸に分解され、身体の必要な部位に届けられるようになっているからです。コラーゲンがそのまま皮膚に到達するというようなことはあり得ないわけですね。
皮膚に必要なコラーゲンは前述の真皮で合成されるわけですから、その合成に欠かせない栄養素を摂り、規則正しい生活を行うことが、皮膚コンディションを高めることに繋がるのです。
コラーゲン合成に必要なタンパク質、ビタミンC、ビタミンA、亜鉛などと共に鉄は欠かせない栄養素になります。
食品中の鉄の種類
食品中の鉄は2種類の「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられます。あまりなじみが無い言葉かもしれませんが、簡単に言うと身体に吸収されやすい(ヘム鉄)か、吸収されにくい(非ヘム鉄)かの違いがあります。
ヘム鉄 =肉・レバー類・赤身の魚・貝類 (吸収されやすい)
非ヘム鉄=野菜類 (吸収されにくい)
非ヘム鉄は、そのもの単体だと吸収率が高くないのですが、タンパク質やビタミンCなどと一緒に摂取すると吸収率を上げることができます。様々な食品をバランスよく摂取することが大事なわけです。
鉄の含有量が比較的多い食品
アトピーの方でこれらの食品が嫌いであったり、普段ほとんど摂取することが無いような方は気を付けてみてください。
ヘム鉄の含有量が多い食品
- レバー(ホルモン)類
- 赤身の肉
- 赤身の魚(マグロ・カツオ)
- 鰯
- 牡蠣、アサリ、しじみ
非ヘム鉄の含有量が多い食品
- 小松菜
- ホウレン草
- 水菜
- 大根の葉
- 春菊
- 枝豆
- 空豆
- バジル
- パセリ
- 卵黄
- 大豆(納豆・厚揚げなど)
- 海藻類
※鉄に関わらず、アトピー性皮膚炎を克服出来る身体を作っていくためには、栄養バランスは決して無視してはいけないものになります。
栄養状態が良くないと、どのような治療を受けても変化が出にくかったり、回復スピードが遅いと言った状態を招いてしまいます。当院関連コラムも参考にしていただき、極端なことをせずにコツコツとバランスの良い食生活を続けていくように心掛けてください。
自身の栄養状態を把握する
アトピー性皮膚炎の克服に欠かせないのが栄養状態の見直しです。
ご自身やお子さんの栄養バランスが気になる方は客観的に栄養状態を評価できる検査を利用すると良いでしよう。
当院では、3種の検査法をご案内しております。
ご自身やご家族の栄養状態の確認に興味のある方はコチラもご覧ください。