松戸市のアレルギーバスター:てんびん鍼灸治療院です。
ここでは、アトピー性皮膚炎と塩の関係性について触れたいと思います。
アトピー性皮膚炎の方の施術を行なっていると、この塩の摂り方を間違えてしまっている方が少なからずいらっしゃいます。
どうやら、ネット上の情報の切り抜きで誤解が生じていたり、健康関連の指導を行う人の中にも偏った情報を伝えてしまう方がいるようです。
くれぐれも
「天然塩だったらどれだけ摂取しても大丈夫!」
などということはあり得ませんので、冷静にご判断ください。
天然塩(自然塩)は良いものですが、良いものでも摂り過ぎてはいけません!という話です。
このページでは塩のことや、アトピー性皮膚炎と塩の関係性について触れたいと思います。
また、この投稿は天然塩=自然塩という扱いで進めさせていただきます。
Contents
塩への誤解
では最初に塩に対して、よくある誤解を見てみましょう。
- 塩はそもそも悪いもの
減塩という観点から、多くの人は塩分の摂り過ぎが健康に悪いと考えていますが、適量の塩は体に必要不可欠なわけです。塩(ナトリウム)は体内の電解質バランスを保ち、神経伝達や筋肉の収縮をサポートします。ただし、過剰な塩分摂取は高血圧や心疾患のリスクを高めるため、やはり摂取量や、摂取する塩の性質が重要ということになります。
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天然塩は健康に良く、精製塩は悪い
天然塩(海塩や岩塩)はミネラルを含んでいるため、精製塩よりも健康に良いとされていますが、比べて精製塩が悪いというのは、その成分にミネラル量がほとんどないからです。
精製塩は純度が高いため、保存食の加工や工業用途、医療用途などでは優れている面も存在します。
当院では、食用という点において天然塩を勧めさせていただいております。また、どちらにしても主成分は塩化ナトリウムであり、良い塩であっても過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。 -
自然塩であればどれだけ摂取しても問題がない
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間違いです。自然塩でも精製塩でも、その主成分は塩化ナトリウムであるため、塩分の過剰摂取は身体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、塩分には半数致死量とという推測値も存在し、大量摂取を行なうとその半数が命に関わる状態となると考えられる境界量が存在します(体重により変動)。よって、どれだけ摂取しても良いというようなことは絶対にありません。
- 塩分は汗で失われるので、補給が必要
運動や気温で汗をかくと塩分も失われますが、一般的には普通の食事から摂取される塩分で十分補給されます。特に激しい運動や長時間の運動、真夏の高温下での屋外作業時などをする場合には、水分とのバランスも考慮しながらの補給を考える必要があります。
- 塩分(ミネラル)補給にはスポーツドリンク
巷ではスポーツドリンクなどで適切に塩分を補給することが重要と言われがちですが、スポーツドリンクは糖分が多過ぎるため塩分補給には向いていたとしても総合的観点からは全くおススメできません。ならばと、カロリーオフ製品に手を伸ばしがちですが、カロリーオフ製品には、長期的な健康リスクがハッキリと判明していない人工甘味料が使われていることもありおススメできません。
- 全く塩を摂取しないのが最も健康的
塩分を全く摂取しないことは健康に良くありません。塩(ナトリウム)は体に必要な栄養素であり、適度な摂取が重要です。全く摂取しないと電解質バランスが崩れ、健康に悪影響を与える可能性があります。
塩の役割
では次に、塩(塩化ナトリウム)の持つ、体内での重要な生理的役割を確認していきましょう。
1. 電解質バランスの維持
塩は体内の電解質バランスを維持するために不可欠です。ナトリウムイオンと塩化物イオンは、細胞内外の浸透圧を調整し、細胞の正常な機能をサポートします。
2. 神経伝達のサポート
ナトリウムイオンは、脳を含めた神経細胞の興奮と伝達に重要な役割を果たします。神経インパルス(電気信号)の伝達にはナトリウムとカリウムのバランスが不可欠です。
3. 筋肉の収縮
ナトリウムは筋肉の収縮と弛緩に関与しています。筋細胞内外のナトリウムとカリウムのバランスが崩れると、筋肉の正常な収縮ができなくなります。脚が攣ってしまうことの1要因です。
4. 体液の調整
ナトリウムは体液のバランスを調整し、血液量や血圧の維持に寄与するとともに体内の水分量を保持する役割があります。
ナトリウムの摂取量が少なすぎると、体液量が減少し、低血圧や脱水の原因となることがあります。
5. 栄養素の吸収と輸送
ナトリウムは、腸管での栄養素の吸収と細胞への輸送を助けます。特にグルコースやアミノ酸の吸収にはナトリウム依存性の輸送体が関与しています。
6. pHバランスの維持
ナトリウムは、血液や体液のpHバランスを維持するための緩衝系の一部です。これにより、体内の酸塩基平衡が保たれ、正常な代謝活動が行われます。
これらの役割からもわかるように、身体機能が適切に働くために、健康維持のために適量の塩(ナトリウム)は不可欠です。ただし、過剰摂取は高血圧や心血管疾患のリスクを高めるため、適切なバランスが重要です。
塩分の摂り過ぎになると
たとえ天然塩であっても、過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
天然塩は精製塩と比べてミネラルを多く含んでいるものの、主成分は塩化ナトリウムであり、過剰摂取は以下のような健康リスクを伴います。
過剰摂取のリスク
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高血圧: 塩分の摂取が多すぎると血圧が上がり、高血圧のリスクが増します。高血圧は心臓病や脳血管疾患の原因となります。
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腎臓への負担: 過剰な塩分は腎臓に負担をかけ、腎臓病のリスクを高めることがあります。腎臓は体内のナトリウムと水分のバランスを調整する役割を担っています。
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骨の健康への影響: 高い塩分摂取はカルシウムの排出を促進し、骨の健康に悪影響を与える可能性があります。特に骨粗鬆症のリスクが高まることがあります。
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胃がんのリスク: 一部の研究では、塩分の高い食事が胃がんのリスクを高める可能性があるとされています。
- アトピー性皮膚炎の症状悪化:特に皮膚表面から浸出液が出続けていて、皮膚表面のグジュグジュが治まらないような状態の方の場合は、塩分の摂り過ぎが水分過多を招いてしまうことで皮膚の乾燥を阻害してしまうことがあります。
適切な摂取量
世界保健機関(WHO)は、成人の1日の塩分摂取量を5グラム以下に制限することを推奨しています。これは、ティースプーン1杯の量程度で、精製塩と天然塩の両方に適用されます。
日本における塩分摂取量の基準は、健康維持のために策定されています。以下に、厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準(2020年版)に基づく塩分摂取の目安を紹介します。
推奨される塩分摂取量
成人(18歳以上)
- 男性: 7.5g未満/日
- 女性: 6.5g未満/日
高血圧予防のための目標
- 男性・女性共通: 6g未満/日
背景と理由
- 日本では、食塩の過剰摂取が高血圧や心血管疾患の主要なリスクファクターとされています。
- 伝統的な日本食には塩分の高い食品(漬物、味噌、醤油など)が多く含まれており、摂取量が高くなりがちです。
健康への影響
- 高血圧: 塩分摂取が多いと血圧が上昇し、高血圧のリスクが増加します。
- 心血管疾患: 高血圧は心臓病や脳卒中のリスクを高めます。
- 腎臓病: 過剰な塩分は腎臓に負担をかけ、腎機能の低下を引き起こす可能性があります。
塩分摂取を減らすための方法
- 調理法の工夫: 調味料の使用を控え、塩分の少ない食材を選ぶ。
- 加工食品の見直し: 加工食品やインスタント食品には多くの塩分が含まれるため、できるだけ控える。
- 食事のバランス: 野菜や果物を多く摂り、全体の食事バランスを見直す。
- 味覚の調整: 薄味に慣れることで、自然に塩分摂取量を減らすことができる。
- 天然塩の使用: ナトリウム量が少なく他ミネラルが含有されるため、同量を使うなら精製塩より減塩となる。
塩分を身体から排出するには
塩分(ナトリウム)を身体から排出させる方法は下記の様にいくつかあり、主に排尿や発汗を通じてナトリウム排出を助けます。
1. 水分摂取
適切な水分摂取は、尿を通じてナトリウムを排出するのに役立ちます。
- 十分な水分補給:一日に十分な量の水を飲むことで、ナトリウムの排出を促進できます。
- 低ナトリウムの飲料:ナトリウム含有量の少ない飲料を選ぶことも重要です。
2. カリウムの摂取
カリウムはナトリウムとバランスをとる働きがあり、ナトリウムの排出を助けます。
- カリウムが豊富な食品:バナナ、オレンジ、ほうれん草、アボカド、じゃがいも、海藻類など、カリウムが豊富な食物を摂取することが推奨されます。
- 天然塩の摂取:食卓塩はその成分のほとんどが塩化ナトリウム(NaCl)なのに対し、天然塩と呼ばれるものにはカリウムが比較的多く含まれている物があります。
3. 運動
運動を通じて汗をかくこともナトリウムの排出に効果的です。
- 有酸素運動:ジョギングやウォーキング、サイクリングなどの有酸素運動は、発汗を促進します。
- 適度な運動:運動効果は大切なものですが、過度な運動は体に負担をかけてしまうため、適度な運動を心がけましょう。
4. 塩分の摂取制限
ナトリウムの摂取を制限することで、体内のナトリウムレベルをコントロールできます。
- 塩分を控える:食事での塩分摂取(特に精製塩)を控え、加工食品やファストフードなど、塩化ナトリウム含有量の多い食品の摂取を減らすことが大切です。
- 調味料の見直し:使うならば天然塩を選ぶようにし、精製塩を含まない調味料やスパイスを使用して、食事の味付けを工夫しましょう。
5. 利尿作用のある食品の摂取
利尿作用のある食品(カリウム含有量が多い)を摂取することで、尿を通じてナトリウムの排出を促進できます。
- 利尿作用のある食品:キュウリ、ブロッコリー、ほうれん草、イモ類、豆類、生魚、海藻類など、利尿作用があるとされる食品を摂取します。
6. アルコールとカフェインの制限
アルコールやカフェインを含有する飲食物は一時的に利尿作用を促し、尿量を増加させることでナトリウム排出させますが、長期的には脱水を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが重要です。
7. 専門的なアドバイスを受ける
特定の健康状態(例えば、高血圧や腎臓病)がある場合は、専門家の指導を受けることが重要です。個々の健康状態に応じたアドバイスや治療が必要になることがあります。
塩分コントロールが必要な疾患をお持ちの方は、インターネット上の情報をただ鵜吞みにしてしまうことのないようにしましょう。
以上のような方法を組み合わせて実践することで、ナトリウムの排出を効果的に促進し、健康を維持することができます。
身体が塩分不足になると
身体の塩分(ナトリウム)が不足すると、低ナトリウム血症と呼ばれる状態になり、さまざまな症状や健康問題が発生する可能性があります。
ナトリウムは体内で多くの重要な機能を果たしており、不足すると以下のような影響が現れます。
1. 脱水症状
ナトリウムは体内の水分バランスを維持するために重要です。不足すると、細胞外液の量が減少し、脱水症状が発生します。これにより、以下の症状が現れます。
- 口が渇く
- 極度の喉の渇き
- 疲労感
- 脱力感
- めまい
- 心拍数の増加
2. 吐き気や嘔吐
ナトリウムが不足すると消化器系にも以下のような影響を及ぼすことがあります。
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹痛
- 食欲不振
3. 血圧の低下
ナトリウムは血圧の調整に重要な役割を果たします。不足すると血圧が低下し、以下のような症状が現れます。
- めまいやふらつき
- 立ちくらみ
- 疲労感
- 脱力感
- 視覚障害
- 意識障害(極度)
4. 筋肉や神経の異常
ナトリウムは神経伝達と筋肉の収縮に関与しています。不足すると以下のような影響があります。
- 筋肉の攣りや硬直
- 筋肉の痙攣
- 筋力低下
- 脱力感
- 筋疲労
- 手足のしびれ
- 感覚異常(触覚や痛覚の鈍化)
- けいれん発作(重度)
5. 脳機能の低下
ナトリウム不足は脳機能に影響を与え、以下のような症状が現れることがあります。
- 頭痛
- めまい
- 混乱や集中力の低下
- 記憶力の低下
- 判断力の低下
- 意識障害(重度)
ナトリウム不足の原因と対策
ナトリウム不足は、以下のような原因で発生することがあります。
- 激しい運動や暑い気候での大量の発汗
- 過度の水分摂取
- 利尿剤の使用
- 腎臓の問題
- 不適切な食事
ナトリウム不足を防ぐためには、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
天然塩の種類
天然塩と言える主なものには、海水塩、岩塩、湖塩があります。
海水塩については次の「海水塩の見分け方」で触れますので、ここでは岩塩、湖塩について少し触れておきます。
岩塩の特徴
岩塩(ヒマラヤンソルトなど)は、地球の地層から採掘される自然塩で、特有の成分や製法によって他の塩と異なります。以下に、岩塩の主な特徴を詳しく説明します。
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製法
- 採掘方法: 岩塩は地中深くの塩層から採掘されます。これは主に採掘や削岩機を使用して行われ、海水が蒸発してできた古代の塩層が対象です。
- 加工方法: 採掘された岩塩は、通常、精製や加工が最小限に抑えられ、自然な状態に近い形で使用されます。粗塩としてそのまま販売されることもあります。
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ミネラル含有量
- 多様なミネラル: 岩塩にはナトリウム以外にもカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、時に硫黄なども含まれており、これらのミネラルが塩に特有の風味や色を与えます。
- 色の違い: ミネラル成分により、岩塩の色は白からピンク、オレンジ、赤褐色などさまざまです。色が濃いほど多くのミネラルが含まれていることが多いです。
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外観と結晶
- 結晶の形状: 岩塩の結晶は多様で、不規則な形状や大きさがあります。これが岩塩の自然な美しさを引き立てます。
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風味
- 深い味わい: 岩塩には様々なミネラルが含まれているため、一般的な食卓塩よりも深い味になります。料理に使うことで食材の風味を引き立てます。
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健康への影響
- ミネラルの恩恵: ミネラルが含まれているため、岩塩は健康に良い影響を与えるとされることがあります。ただし、含有ナトリウム量は一般的な食塩よりやや低いか同程度(99%以上のものも多い)であるため、精製塩同様に塩分摂取量には注意が必要です。食用で扱う場合にはナトリウム比率がなるべく低い製品を選べると良いでしょう。
- 適量の摂取: 天然塩に分類される岩塩ですが、高血圧や心血管疾患のリスクを避けるために、塩分の摂取は適量を守ることが大切です。
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用途
- 調味料: 食品の調味料として使用されるほか、焼き物やグリル料理、仕上げの塩としても人気があります。粗塩として使用されることが多く、塩の塊を砕いて使うことが一般的です。
- バスソルト:硫黄の香りのするものなどもあり、塩素中和作用と共に入浴剤として使用されます。
- 装飾や工芸品: 一部の岩塩は装飾品や工芸品、ヒマラヤンソルトランプとしても使用されます。
湖塩の特徴
湖塩は、湖水から採取される塩で、その特性や製法によって、特有の風味や成分を持っています。以下に湖塩の主な特徴を説明します。
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製法
- 湖水の蒸発: 湖塩は、塩分を含む湖水を蒸発させて作られます。蒸発が進むと、湖水から塩分が結晶化し、それを収集して乾燥させて製品となります。
- 自然乾燥: 多くの湖塩は自然乾燥の過程を経ることで、天然のミネラルを保持しています。
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ミネラル含有量
- 独自のミネラル成分: 湖塩には湖水特有のミネラルが含まれています。それぞれの湖水に含まれる鉱物や微量元素が、湖塩の成分に影響を与えます。
- ナトリウム以外の成分: カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分などが含まれることがあり、これにより独自の風味や色合いが生まれます。
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外観と色
- 色のバリエーション: 湖塩の色は、採取される湖水の成分によって異なります。淡い白色からピンク、赤褐色などの色合いがあります。
- 結晶の形状: 結晶の大きさや形状は湖塩の製法や湖水の性質によって異なります。一般的に、粗塩として販売されることが多いです。
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風味
- 特有の風味: 湖塩は、そのミネラル成分によって特有の風味があります。海塩とは異なる風味があり、料理に独特の味わいを加えることができます。
- 料理の味付け: 風味が豊かであるため、特に高級料理や繊細な料理に使われることが多いです。
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使用方法
- 調味料として: 湖塩は調味料や食材のアクセントとして使用されます。特に料理の最後に振りかけることで、風味や食感を高めることができます。
- 健康食品: 一部の湖塩は、ミネラルが豊富であることから健康食品としても利用されることがあります。
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製品例
- ウユニの塩 ピラミッド: (100gあたり)食塩相当量93.98g マグネシウム160mg カリウム150mg カルシウム29mg 鉄0.6mg
- カンホアの塩: (100gあたり)ナトリウム39,000mg カリウム100mg マグネシウム18mg カルシウム22mg その他
- 天日湖塩: (100gあたり) ナトリウム37.860mg カルシウム80mg カリウム30mg マグネシウム100mg その他 など
海水塩の見分け方
商品が精製塩か天然塩かを見分けるには、製品のパッケージや成分表示などを確認します。
精製塩の場合
- 塩化ナトリウム99%以上 の表記
- 原料に、海水、天日塩、炭酸マグネシウム の表記
- 製法(工程)に、「イオン膜」「立釜」 の表記
- 主な製品は、食卓塩、食塩(各種)など
再加工塩の場合
- 塩化ナトリウム95%程度の表記
- 原料に、天日塩に続いて海水、にがり(粗製海水塩化マグネシウム) の表記
- 製法(工程)に、「溶解」「立釜」 の表記
- 主な製品は、シママース、伯方の塩、赤穂の天塩、瀬戸のほんじお、カンホアの塩など
天然塩(海塩)の場合
- 塩化ナトリウム85%程度(幅があります)の表記
- 原料は、海水のみ
- 製法(工程)に、「天日」「平釜」 の表記
- 海の精、塩こまち、手作り天然塩あまび、ぬちまーす、雪塩、青い海など
アトピー性皮膚炎と塩
アトピー性皮膚炎と塩には、個人差があるものの以下のような関係性や影響がでることがあります。
塩の摂取とアトピー性皮膚炎
- 塩分摂取の影響
過剰な塩分摂取
- 過剰の塩分摂取は、体内の炎症反応を悪化させてしまう可能性があり、アトピー性皮膚炎の患者さんではその炎症が影響し症状が悪化してしまうことがあります。
- 塩分の過剰摂取を行なうと、その後に口や喉が渇き水を欲することになります。体内の水分量が増え過ぎてしまうと体質によっては皮膚炎の箇所から浸出液が漏出しやすくなる場合があります。
塩分制限
- 反対に塩分(ナトリウム)を適度に制限することは、炎症を抑えるために役立つ可能性があります。ただし、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄など、皮膚をはじめ心と身体を養うのに必要不可欠なミネラルは摂取しておきたいため、アトピー性皮膚炎でお悩みの場合には精製塩ではなくミネラルを含んだ塩を使いながらの塩分制限がおすすめです。
海水浴とアトピー
海水浴は実はアトピー性皮膚炎の症状緩和に効果的なことがあります。塩にも関連する話になります。
- 海水に含まれる塩分が皮膚のバリア機能を強化し保湿効果を高めることが知られています。
- 海水に含まれているミネラル成分マグネシウムはには、バリア機能強化により保湿能アップ・抗炎症作用・細胞代謝の促進等の効果が期待できます。
- 海水浴に伴う、日光浴によって皮膚でのビタミンD合成が促され、皮膚コンディションを高めてくれます。
- 海で泳ぐ、遊ぶ行為が運動になり、ストレス発散に繋がるため皮膚の抗炎症に向けてポジティブな作用が期待できます。
バスソルト入浴
ここまでの話から、入浴時にミネラルが含まれている岩塩等で出来たバスソルトを使用した入浴もおすすめです。
特にアトピー性皮膚炎の方は様々な理由で海水浴そのものへのハードルが高いことも少なくありません。
そのような場合は、このようなバスソルトを使った塩風呂の利用も良いのではないでしょうか。
- ぬるめの湯加減*
- 〜10分、15分程度の短時間入浴*
- 多くても3日に1回程度の頻度にて*
ただし、グジュグジュ皮膚の場合は皮膚を乾燥させることを優先させたいため、入浴は極力控えられることが望ましいです。
*熱すぎる湯温、長時間/頻回の入浴、石鹸やボディソープの使用、身体をしっかり洗う行為というのは、皮膚表面の天然皮脂膜をも洗い流してしまいます。
皮膚症状のある方ほど気をつけていただきたいポイントになります。 こちらもご参照ください➡保湿スキンケアは間違いだらけ!?
マグネシウム浴《参考》
「塩」とは少し話が逸れてしまいますが、関連した皮膚炎の方の入浴法についてマグネシウム浴もご紹介します。
- ミネラル効果:マグネシウムは経皮吸収されるミネラルとして知られており、一部の皮膚炎の方(特にマグネシウム不足傾向のある方)には、皮膚のコンディショニングに役立つことがあります。
- エプソムソルト:製品としてはこちらが有名です。硫酸マグネシウムを主成分としており、塩分を含まないため給湯器の配管が痛まず追い炊き等も可能になります。
- 食事等で上手くマグネシウム補給ができないような場合に特におすすめです。
まとめ
塩はアトピー性皮膚炎の管理において、適度な摂取や外用としての使用で症状の緩和に寄与する可能性があります。
ただし、個々の状態や反応に応じて適切に利用することが重要ですし、良いものだからと過剰に摂取するようなものではありません。
さらには、心と身体に必要なミネラルというのは、塩のみならず様々な食品から摂取できるのが理想となります。
ミネラル塩のことばかりに気をとられて、食事の内容がガタガタだった・・では本末転倒です。
広い視点を持って長期的にバランスの取れた食事を心がけてください!